ムロに野菜を入れる。

投稿日: 2019年12月3日カテゴリー: ブログ

室は(ムロ)と読みます。
地面に穴を掘り、冬季の野菜を保存するところです。
昔は地面を掘ったままだったのですが、それでは年月を経ると壁が崩れてきます。
ふりだしには室は2か所あります。
1か所は主にヤギのエサであるビートと人参が入ってます。
この室は穴を掘った後四隅に柱を入れて、上部だけ木で枠を作り、ふたはコンパネを置いているだけです。
3年前に大幅に崩れ、周りをコンパネで囲いましたが今年又壁が崩れ、応急処置で今年は何とかします。
来年までには新しい室を作らないとダメなんですが、冬はコンクリートが凍ってしまうので養生しながら作らなくてはダメなので、今年の冬に新しい室が掘れるかはわかりません。
今までは室は人力で掘りました。
そんなに大きくない室でも、人力で掘るとなると大変です。
なにしろ、掘った土は、室のすぐ横に出していきますが、この土がどんどん高くなって、掘った土を上げるのが、室が深くなるにつれて厳しくなります。
これがもう一人いると非常に楽です。
掘った土を上にあげてくれて、土は少し遠いところに捨てることができます。
何しろムロは最低でも3メーターほど掘らなければなりません。
一人で掘ると2メーターぐらいまでは何とか土を出せますが、それより深くなるとこれが結構大変なのです。
げたは壁を階段状に掘って行き、この階段を利用して土を出しながら、掘って行く方法で室を掘りました。
最後にこの階段を崩して室は完成です。
結構時間はかかります。
体力もいります。
今は人力では掘れません。
機械で掘ります。
小さい穴なら1時間を掛かりません。
機械は恐ろしいです。
人力なら3日はかかります。
これ頑張ってですよ。

もう1か所の室は家の中にあります。
これは結構大きい室です。
ちょっとした地下室と言ってもいいくらいです。
この室は家で使う野菜用です。
ジャガイモ、ヤーコン、ニンジン、大根などが入ります。
この家の室は家のちょうど真ん中の貯蔵庫の地下にあります。
周りはブロックで囲まれてます。
この室自体が家の基礎の一部でもあります。
そのため作るのには結構時間をかけました。
本当にきつくて泣きたくなるほど大変でした。
この室はブロックで壁を作るのですが、ブロックで壁を作るためには、壁の横に隙間が必要なのです。
そのため必要な空間よりも広い面積の穴を掘らなければなりません。
今見てもこんな穴をよく掘ったもんだと思います。
個の穴掘りのつらさは、穴掘りをした人にしかわかりません。
やったことが無い人にいくら言っても、このキツサのリアリティーはわからないと思います。

余談ですが、大鹿村では私たちが来た当座は死んだ人を土葬してました。
当然ですが、手で穴を掘ります。
穴掘りは3人ぐらいで掘ります。
人間用の棺桶が入る穴を掘るのでも、3人がかりで掘るのですよ。
この穴掘りの人たちは、穴掘りしかやりません。
きつい仕事なのでほかの仕事と併用は無理なのです。
室の穴はこの穴の何倍も広いし、尚且つ深いのです。
その土地の土質にもよりますが、普通は結構石が多くて、なかなか掘り進めません。
スコップでスコスコなんて簡単に掘れるもんではないんですよ。
家を作るときは、基礎も穴掘り、便所も穴掘り、風呂も穴掘り、こたつも穴掘り、室も穴掘りと、基礎の部分では本当にたくさんの穴を掘らなければなりません。
そのため、ほとんどの自分で家を作る人でも、基礎はプロに任せるのです。
技術もいりますから。
自分で基礎から、その前の木を切って、根っこう抜いて、土をまあまあ平らにして、それから基礎ですよ。
こんなの普通はやりませんし、できません。

このようにして作った室です。
寒冷地では室は非常に大事なのです。
春までの野菜の保存は、昔は命がかかっていたのです。
春までの冬季の食糧に確保が命がけだったのです。
冬場の食糧を十分に確保できなければ、誰かが死ななければならなかったのです。
家畜も同じです。
春までのエサが無いと家畜も生きれません。
春までのエサが十分でない場合は、家畜は殺されます。
昔の自給は本当に大変だったんですよ。
そのために、できるだけ大きな室を掘るんですよ。
今までいろんな家の室を見てきましたが、とんでもない規模の室もあるんですよ。
中で住めるぐらいの室もあります。
サツマイモなんかは深い室でないと冬を越せないのです。
サツマイモ用に室の中にまた別の穴があったりします。
サツマイモは5度以下になると腐ります。

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